↑2016年に購入して以来、私の右腕としてバリバリ活躍してくれている富士フィルムのデジカメXQ2(レビュー記事はこちら)。
華奢な感じだったためカメラケースに入れたりして大事に扱ってきたおかげか、買ってから五年間不具合も無く、順調に使ってこられてきていたのですが、今年の5月あたりに、急にシャッターの半押しができない瞬間が生じました。
シャッターが切れない
↑通常であれば、シャッターを半押しするとモニター中央にこのように緑のワクが出てピントが合い、そのままシャッターを押し込んで撮影する(シャッターを切る)のですが、「シャッターを半押ししても緑のワクが出ない=ピントを合わせられない=シャッターが切れない」という事態に唐突に襲われたのです。
リズム良く気分良く何枚も撮っている最中に突然撮れなくなったので、青ざめたし、すごく焦りました。
予備カメラを買っておいた方が良いのでは
その後、何度もシャッターボタンを押し込んでいるうちに再び半押しができるようになり、撮影も正常に行えるようになりましたが、また、いつ
だって、シャッターが切れなくなったら、カメラとして完全に終わりだよね??
うちにはまだ一応使えるデジカメ(富士フィルム FINEPIX F200EXR)(2009年購入)がもう一台あり、XQ2が壊れたらそれを使えば良いかとも考えたのですが、F200EXRはズームリングが故障しており、メインカメラとして使うのは厳しい状況。
だったら、XQ2がいつ使えなくなっても大丈夫なように、予備のデジカメを買っておいた方が良いかもしれない。
新デジカメに求める条件
そうなったら善は急げ。さっさと新デジカメの選定をしよう!
私が新デジカメを選ぶのに掲げた理想は以下のような感じ。↓
できれば価格は4万円未満
マクロ撮影ができる
開放F値が1.8
1型センサーに憧れ
本体が軽い(200g~300g)
動画撮影時にフォーカスがぶれにくい
自撮りしやすいように液晶がバリアングルorチルト式
↑XQ2の良さはそのままに、XQ2で「もう少しこうだったらいいな」と思うところが強化されているようなカメラがあれば良いなと思いました。
富士フィルムが良かったが…
まず、本当は第一候補にしたいのは富士フィルム。長年使ってきて愛着があります。
けれどXQ2を最後に富士フィルムのコンデジは高級路線オンリーになってしまい、現在売られているものの中でXQ2の代わりになりそうな機種(X100V、X100F)は10万円超えと、その値段だけで無理!!
一番安いXF10はAmazonでの新品販売価格が5万4000円だけれど、最短撮影距離が10㎝と、全然接写ができない!!
というわけで富士フィルムの機種は泣く泣く諦めることに。
最近のデジカメは高い!
その他、めぼしいメーカーのデジカメを一通りチェックしてみて、機能的に理想に近そうだと思ったのが以下の三機種(価格は調査時点のもの@Amazon)。↓
↑いやしかし……どれも高いね?? 思いっきり予算オーバーだよ??
5万オーバーでも辛いのに、6万、7万となると……それ、デジカメの値段なの?? と言いたくなる。
デジカメってもっと買いやすい値段の物じゃなかったかなあ。スマホの台頭で、デジカメ市場も縮小して、なんだか超高級なアイテムになっちゃったんだなあ……。
初代RX100
と、目を付けた機種が高価すぎることに頭を悩ませていたときに、ふと思い出したのが初代RX100の存在。
RX100は現在7代目の「M7」まで出ているソニーの高級コンデジで、私は3代目の「M3」を候補の一つに入れていたわけですが、初代RX100も未だにかなり評判の良いカメラで、売れ筋だと聞いています。
何より、初代RX100は、XQ2を買うときにどちらを購入するか迷った機種で、発売当時(2012年)からの憧れ。
私の希望である「バリアングルorチルト液晶」という条件は満たさないのですが、価格は3万円台後半と、現在の高級デジカメ市場においてはかなり手頃。
生産終了
しかもちょっと調べたところ、この初代RX100、2021年の春に生産終了(*1)となったというではありませんか!!(参考*1:THE MAP TIMES)
ええっ!! じゃあ、初代RX100は、今買わなければ、もう手に入らない可能性が高いのか。
憧れ続けてきた初代RX100。
最短撮影距離が5㎝というところがちょっと気になるけれど(本当はもう少し近寄って撮れるのが良い)、総合的に考えて、これを買うのがベストなんじゃないか??
というか、予算的に、これしか買えないのでは??
ということで……。
ちょっと、リサーチが十分ではない感じがありつつも、今しかな~~い!! という衝動に押され、初代RX100を購入してしまったのでした!!
初代RX100を購入!
↑こちら!! うわ~~! ついに買ってしまった初代RX100!!(3万7500円)
↑うわはははあーーー!! 2012年から憧れていたカメラを、ついに9年後に手にしたーー!!
↑本体と付属品はこちら(その他説明書など)。
↑コンパクトだけどズシッと重量感があるボディー。丸く大きなレンズ。なんだか、小さい中に色々詰め込まれている感がひしひしと伝わる、高級感あふれるカメラです。
初代RX100とXQ2のスペック比較
以下は、初代RX100とXQ2の主なスペック等比較表です。上回ると判断した項目は背景を黄色にしてあります。↓
122.9万ドット
92万ドット
1920x1080(フルHD)
1920x1080(フルHD)
総重量:240g
総重量:206g
↑RX100は数字的なスペックだけでいうと意外とXQ2に後れを取っている点もあるのですが、ユーザーの満足度が高いのが印象的です。
しかしこの初代RX100。
結論から言って、まあまあ使いこなせるようになるまで非常~~~に苦労しました!! 二ヶ月半はかかりました!!
初撮影で違和感~黒々している?
早速試し撮りしてみようと思い、被写体に選んだのはりんご!!
縁あってうちにやってきたカメラが初めてその目でとらえるものは良いものであってほしい……というカメラへの気遣いでりんごを選びました。
そしてドキドキしながら早速オートで撮影してみると……ん?↓
↑なんだかちょっと……りんごが黒々しているね??
陰影が深いというか……重厚感ある雰囲気というか……何か……思ってたのと違う風に撮れた。
あれ? と思って、今度はXQ2で撮ってみます。↓
↑同じりんごなのに、別物みたい。色は薄く明るくなり、全体的にソフトな雰囲気。
私は、RX100もXQ2のような感じで撮れると思っていたのにこの違いは何??
RX100は実際より青っぽく撮れる
続いてRX100で撮ってみたのは、窓際のセロハンテープ。↓
↑これも、撮れたものを見てえっ? と思いました。
なんか……落ち着いた、物憂げな雰囲気が良いけれど、全体に少し青みがかって、実際の見た目と色合いが違~~う!!
↑同じセロテープを今度はXQ2で撮ってみたのがこちら。RX100よりも明るく、温かみのあるオレンジがかった色合いで撮れていて、肉眼での見た目はこっちの方が近いよ!!
これはどういうこと……??
私は考え込んでしまいました。
メーカーによって色合いが違うのか?
私は初めて買ったデジカメが富士フィルムの「FinePix F700」で、以来、「F200EXR」→「XQ2」と富士フィルムのデジカメ一筋。
サブカメラとしてキヤノンのものを一台買ったことはあるのですが、ほとんど使うこともないままに故障してしまったので、実質、富士フィルム機の写りしか把握できていません。
そして私は、デジカメって、メーカーが違っても色合いなどは同じになるものだと思っていました。
画素数やセンサーサイズが違うので、精細さやボケ感などに違いは出ても、色合いにそこまで大きな差は出ないだろうと。
けれど、初めてソニーのデジカメで撮ってみて、もしかしてメーカーによって色合いの特徴のようなものがあるのかもしれないと……思い始めました。
どうもソニーのカメラは、実際よりもシリアスな雰囲気(色味)で撮れるようだ。
別に、それも悪くはない。
けれどなんだか慣れない!!
富士フィルムの色味が好み
RX100の写り(色味)に違和感を覚えましたが、じゃあ、だからといってどうしたら良いのだろうと思いました。
私は今まで、露出くらいは調整することはあっても、写りはデジカメにお任せで写真撮影してきました。
何も考えずただシャッターを切るだけで、富士フィルムのカメラは私が「いいな」と思う色の写真を撮ってくれるのです。
その特徴は「明るい。華やか。軽快。」
今まで意識したことはあまりなかったけれど、私は、そういう色の写真に慣れていて、きっと、それが好みでもあるのだろう。
RX100の絵を、私好みに、つまり富士のような色味を目指して調整することは可能だろうか?
便利機能発見:マイフォトスタイル
そこで、RX100の色味調整方法を探していて見つけた超便利機能がこちら。↓
↑マイフォトスタイルというもので、オートの時に、その写真の写り具合を四つの項目で調整できるものです(説明書のp.55)。↓
背景のぼかし具合(くっきり↔ぼかす)(17段階)
明るさ(明るく↔暗く)(13段階)
色合い(暖かく:赤みがかる↔クール:青みがかる)(15段階)
鮮やかさ(鮮やかに↔淡く)(7段階)
↑これを活用して、先ほどのセロテープの写真を「鮮やかさ…MAX」「色合い…暖かさ+3」にして撮ってみたのがこちら。↓
↑おおっ!! これならだいぶ肉眼での見た目にも近いし、富士っぽい色味になったぞ。
よし、これからはこの「マイフォトスタイル」を駆使して撮ればなんとかなるんじゃないか??
北彩都 ガーデンで撮影会
というわけで!! XQ2購入時は撮影会に美瑛まで行ったので、RX100もどこか特別な場所に行って撮影会をしようと思い、選んだのがこちら!↓
↑北海道旭川市の駅に直結している庭園施設、「あさひかわ北彩都ガーデン」!!(入園無料)
2015年にオープンした施設で、ずっと気になってはいたものの、来たのは今回が初めて!!
ここで!! オートの「マイフォトスタイル」を使ってバシバシと植物の写真を撮っていくどーー!!
季節の花々をRX100で撮る
↑日本固有種「エゾフウロ」。背景のボケ具合が良い感じ!(F値1.8)
↑ペチュニア。見た目通りの鮮やかなマゼンタで撮れました!(F値1.8)
↑シソ科のコリウス。飛び出したアスパラのような茎に小さな花が咲くそうです。綺麗な緑色です。(F値1.8)
↑ピンクが可愛い紫陽花。(F値2.5)
↑小さなヒマワリ「サンビリーバブル」。(F値1.8)
↑北海道といえばラベンダー。園内に何カ所も咲いていました。(F値1.8)
↑「ヤロウ」という名の花(F値2.2)。初めて聞いた花の名で、「ヤロウ」だなんて「野郎」みたいで面白いなと思い調べてみたら薬効のあるハーブで、「止血、解熱、殺菌、健胃作用」(*1)があるそうです。(参考*1:ハーブのホームページ)
↑青みの深い紫陽花。(F値2)
RX100とXQ2でまったく違う色味で撮れた例
↑石垣の金網に咲いていたクレマチス。(F値4.5)
↑ちなみにこちら、RX100と一緒に持って行ったXQ2で同じ花を撮ったもの(F値2)。色が全然違いますが、肉眼での見た目はRX100が正解です。
窓際で撮ったセロテープはXQ2の方が見た目に近く、その他のものもほとんど肉眼で見た通りに撮ってくれるXQ2ですが、こんな風に実際と全然違う風に撮れることもあるんだなと思いました。
マクロ比較
↑精一杯、寄れるところまで寄って撮ったラベンダー(F値5.6)。
↑こちらはXQ2で同じ花を精一杯近くで撮ったもの(F値1.8)。
やはり、最短撮影距離がRX100は5㎝のところ、XQ2は3㎝まで寄れるので、マクロということに関してはどうしてもXQ2に軍配が上がります。
↑こちらはミニヒマワリの、RX100によるピントが合うギリギリの接写。(F値1.8)
↑こちらは同じ花の、XQ2による接写(F値2.5)。XQ2はマクロが強い!
ぼかしの表現はRX100が強い
上記、見てきたように、RX100は被写体に寄り切れないところが弱点と言えるのですが、色々撮っていくうちに、センサーサイズが大きいゆえのボケ味の良さを感じるようになりました。↓
↑たとえばこちら。RX100にて背景ぼかし具合MAX(F値1.8)で撮った銀杏の葉ですが、後ろの建物がボケボケにボケています。
↑同じ銀杏を、XQ2で同じくF値1.8で撮るとこんな感じ。建物がくっきりしています。
↑これは、神社の境内にあった風鈴をRX100で背景ぼかし具合MAX(F値1.8)で撮ったもの。後ろがほどよくボケて、一番手前の風鈴が目立っています。
↑こちらはXQ2(F値1.8)。後ろの風鈴がややはっきりしていて、一番手前の風鈴の目立ち具合が弱くなっています。
RX100最大の強み
このボケ味の良さがRX100の最大の強みなんじゃないかなと、私は使っていて思うようになりました。
特に、少し奥行きのある構図で、手前の被写体を目立たせたいときに、背景がボケていると雰囲気のある写真になるんですよね。
ぼかしすぎ注意
しかしながら、「背景ぼかし」を最強に効かせていると、被写体によっては「ボケすぎて変」と思うこともありました。↓
↑たとえばこの「ゆでて刻んだオクラ」。盛った山のてっぺんにだけピントが合ってあとはふんわりボケていて、それはそれで良いのですが、私としては「このオクラにそこまで雰囲気求めてない。もっと、ゆでオクラとしての質感をはっきり伝えてくれないかな」と要望を出したくなりました。
そこで、ぼかし具合を「くっきり」の方に少し動かして撮ったのがこちら(F値3.5)。↓
↑先ほどより全体がくっきりしていて、私の求めるイメージになりました。
自分好みのボケを考える初めての経験
XQ2ではどんなに「ぼかし最強(F1.8)」で撮ってもRX100ほどボケることがなく、カメラ任せの「F1.8」でいつもほどほどの安定した絵を得ていたのですが、RX100は本当に「ぼかし↔くっきり」が極端で、ぼかしが効きすぎるためにそれが本当に自分の求めているぼかし具合なのかを考えながら撮る必要があります。
そんな経験は初めてなので、「え~、自分がどれだけのボケを求めているかなんて、自分でもわからないよ~~」と思いながら、色んな被写体を色んなF値で撮って、PCで確認して好みを考える……という経験を積み重ねました(この点は未だ自分の中で明確にはなっておらず、修行中)。
マイフォトスタイルの欠点~電源オフでリセット
こうして、オートの「マイフォトスタイル」で「ぼかし具合」や「鮮やかさ」を設定して撮るというやり方に落ち着きつつあったのですが、「マイフォトスタイル」には欠点があります。
それは、色んな項目を設定しても、電源を一度切るとそれらの項目値がリセットされてしまうということ。
ですから、自分のお気に入りの「マイフォトスタイル」で写真を撮っても、カメラの電源を切って、再び撮ろうとしたときにはもう一度各項目を好みに設定し直さなければなりません。
これが、いちいち時間がかかってまどろっこしい。
電源を切っても、好みの設定が維持されるようなやり方はないかな?
A(絞り優先)モードでホワイトバランスを調整
そこで、ネットの情報などを参考に行き着いたのが、
「A(絞り優先)モード」にして、色合いは「ホワイトバランス」で調整する
という方法。(参考:「SONY α NEX-C3」について)
↑「絞り優先モード」とは、デジカメのモードダイヤルには必ずあるこの「A」に合わせたときのもので、絞り値(背景のぼかし具合)を自由に決めて撮れるのですが、こんなモード、私、今まで使ったことなかったですよ!!
絞り値自体をいじったことがなかったです。富士のXQ2ではいつも「Pモード(プログラムオート:絞りとシャッタースピードは自動で決まる)」で、たまに露出(明るさ)補正する以外はすべてカメラにお任せで、それで良かったので。
でも、RX100の場合は、カメラ任せだと自分が思うよりボケすぎることがあるのでそこを自動にはできません(特に、料理を接写したいとき)。
ですから「Aモード」にして自分で「背景ぼかし具合」(F値)を設定し、「露出補正」で明るさを決める。
そして、色味は「ホワイトバランス」で調整すれば良い。
これで、電源を切っても、それらの設定は維持されたまま……って、「ホワイトバランス」ってその小難しい名称のやつ、それは一体何??
ホワイトバランスを初いじり
ホワイトバランス……。聞いたことはあるけれど、いじったことは一度もない。
だって、そんなのいじらなくても、XQ2は私好みの色味をいつも出してくれていたから。
けれど、私の好みよりやや落ち着いた色合い(特に料理)で撮れることのあるRX100においては色合い調整の技術が必要……。
というわけで「ホワイトバランスをいじることによる色合いの調整」というものができるように、練習を始めました。↓
↑こちら、「Aモード・露出補正+1・絞り値F2.8・オートホワイトバランス(AWB)」で撮ったあんかけ焼きそば。
これでも別に良いといえば良いのですが、もう少し赤みがかった色合いの方が肉眼で見たイメージに近いので、そのように調整してみます。↓
↑「ホワイトバランス微調整」という項目で、グラデーションになっている表の中央にある「丸印」を、赤みがかった方に移動させてみます(右(A)に4、下(M)に1)。
↑調整後に撮ってみたのがこちら! おおっ! 赤みがかった美味しそうな色に撮れました!!
よし、このやり方で、色味を微調整しながら撮っていけばなんとかなるだろう。……と思ったのですが。
ホワイトバランスの調整をしていられない時がある
この、ホワイトバランスの調整って、けっこう頻繁にやる必要があるんですよ。
たとえば、こちらのお好み焼き。↓
↑調整なしだと青っぽすぎたので、ホワイトバランスを赤っぽく「A5・M1」にして撮りました。
次に、マヨネーズをかけて再び撮ろうとしたところ……。↓
↑ホワイトバランスの設定は先ほどのままなのに、マヨネーズが加わったことでこんどは全体が赤っぽくなりすぎてしまいました。マヨネーズまでうっすら赤い。
↑そこで今度は赤みを落として「A3・M0」にし、マヨネーズがちゃんと白く見えるように調整しました。
こういう調整が、「かつお節をかけたとき」「青のりをかけたとき」なんかにもいちいち必要で、う~ん、よほど時間のあるときなら良いけれど、旅行先での食事を撮りたいときなんかは、撮影時間を極力短くしたいから、こんな、ホワイトバランスなんていちいちいじってられないよ??
調整なしでもそれなりに良い写真を撮るには
デジカメ撮影って、スピードが命のところがあります。
サッと出してパッと撮る!! みたいな。
じっくり調整して好みの絵を撮る方法がとりあえずわかったのは良かったけれど、時間がないときに、ホワイトバランスの調整なしで、シャッターを切るだけでもそれなりに納得のいく写真を撮る方法が知りたい。
富士フィルムの絵に近くなる基本設定
そこで私は、同じ被写体をXQ2とRX100で撮り比べ、XQ2で撮ったときの明るさや色味、雰囲気になるべく近くなるようなRX100の基本設定を探りました。
そして行き着いたのが以下の設定。↓
クリエイティブスタイル…スタンダード(コントラスト-1 彩度+3 シャープネス±0)
露出補正…+1(晴天の屋外は±0~+0.3くらい)
↑ホワイトバランスはオート。Aモードにして(屋外風景など撮るときはPモードでも良さそうではある)、絞り値はお好みでという感じ(F値3.2くらいが基本として無難そう)。
屋内撮影のとき、RX100は写りが暗いので、露出補正をけっこうプラスにかけるのがコツかなと思います。
大福の撮り比べ
以上の設定で、同じ大福を撮り比べてみたのがこちら。↓
↑まずはお手本となるXQ2の写り。F値1.8。
↑こちらRX100。F値3.2。XQ2に遜色ないくらい、だいぶ明るく、スッキリとした色味で撮れたと思います。大福の陰影がよく表現されており、丸々とした立体感が感じられるのがRX100ならでは。
冷やし中華撮り比べ
次に冷やし中華を取り比べてみました。↓
↑こちらがXQ2の写り。F値1.8。私が好きな、明るく澄んだ、爽やかな色味です。
↑RX100で撮ったのがこちら。F値2.8。パッと見、XQ2とほぼ同じくらいな感じで撮れて感激!
撮った色味が結果的に気に入らなかったときは?
ここまで来れば、だいぶ、「ほぼ調整なしでもわりと納得いく写真が撮れる」ような手応えも出てきて、なんとかRX100も使っていけるかな……と思えるようになったのですが、まだ、不安はありました。
それは、RX100で撮った写真の色味が、結果的に気に入らないものになったらどうしたら良いかということ。
時間のないとき(外食時など)に基本設定のみでバシバシ撮った写真の色味が、あとでPCで確認したら何か納得がいかない。そんなときの解決法が確立できていないと、恐ろしくて、外出時に使えない。
……XQ2ではこんな心配をしたことが一度もないのですが、RX100はまだ付き合いが浅すぎて色味の特徴をとらえきれておらず、自分がイメージしたものと結果が異なる可能性があって怖いです。
そしてその解決方法となる最終手段として行き着いたのが、写真編集ソフトによる色調補正!!
写真編集ソフトで色味を直す
写真編集ソフトといえばフォトショップ(Photoshop)で、サイト運営に携わり始めた頃に「サイト作成にはこういうのが必要なのでは?」と思って清水の舞台から飛び降りて購入したものを今でも使っています。
でも、せっかくの超高機能ソフトなのに、私は恐らくその機能の1/100くらいしか使えていない自覚があり(苦笑)、色調補正なんてのもまともにやったことは一度もないレベルでした。
けれど、色調補正の技を身につけないと、RX100を安心して使えない。
ということで、「トーンカーブの使い方」というページで、色調補正の勉強をさせてもらいました。
青みがかった写真を暖かみある色調に補正してみる
↑勉強した知識を元に、この、最初の頃に撮って「実際より青っぽい」ことに驚いた写真に、肉眼での見た目に近づける補正をしてみたいと思います。
写真の青みを減らして、黄味と赤みを足したい。
↑まずフォトショップで「トーンカーブ」のパネルを出します(「Ctrl+M」or上部メニューバー内「イメージ」>「色調補正」>「トーンカーブ」)。
まず「青みを減らしたい」ので、「チャンネル」から「ブルー」を選択(①)し、パネル左下の「指マーク」をクリック(②)します。
↑画像の中で自分なりに「この色が変わるとわかりやすい」というポイントを決め、そこをほんの少し下にドラッグします(③)。
これで、画像の青みがやや減って黄味が増します。
↑次に、もう少し赤みを足すため、チャンネルから「レッド」を選択し(④)、先ほどと近いポイントを今度はほんの少し上にドラッグ(⑤)します。
これで、画像に赤みが加わりました。
↑補正後の写真がこちら。
↑補正前後を並べるとこんな感じ。補正後は最初よりもわずかに暖色系になり、実際の見た目に近い色合いになりました。
補足:無料ツールPhotopeaにおけるトーンカーブ
↑上述した、フォトショップの代わりに使える「Photopea」で色調補正する場合、「トーンカーブ」は「曲線」という名称になっていますのでご注意ください。
また、パネル左下の、フォトショップにおける「指マーク」は、「Photopea」では「Sample from image」の隣の「↕」(両矢印)マークになっています。
こんなに難しいカメラだとは思わなかった(笑)
最低限の色調補正のやり方を覚え、これで、思うような色味に撮れなかったときもなんとかなるかな……と思えて、RX100を使う自信が少しはつきました。
しかしながら……この段階まで来るのに、購入から毎日のように撮影練習して二ヶ月半。……長かった!!
序盤は、「このカメラは私の撮影用途(室内での料理、商品撮影が主)に向いていなかったのでは? 失敗したか??」と焦ることもあったのですが、予算内(4万円未満)でここまで高スペックのカメラはこれしかなかったし、今回買わなかったら一生「RX100ってどんなカメラだったのかなあ」と思い続けそうだったので買ったことは間違ってない。と自分に言い聞かせ、「絶対使いこなしてやる」と意気込んで向き合い続けました。
こんなに扱いの難しいデジカメというのがこの世にあるんだというのが、私にはカルチャーショックでした(笑)。
シャッターを切るだけでは上手く撮れない
私がずっと使ってきた富士フィルムのカメラたちはどれも、「シャッターを切るだけで簡単に見栄えの良い写真が撮れる」ものでした。
そしてデジカメって、すべてそういうものだと思っていました。
けれどRX100はそうではなかった。
RX100は、撮影者に、「あなたはこの被写体をどういう風に撮りたいの?」と問うてくるのです。
「いや……どういう風に撮りたいかなんて考えたこともなかったッス……。ずっとカメラ任せだったので……」とごにょごにょしながら「プレミアムおまかせオート」(調整無し)で撮ってみたら、焼き菓子がとてもまずそうな色になったり……。↓
↑「ちょ!! RX100さん、何なんですかこの写りは。このケーキ、本当はもっと黄色っぽくて美味しそうじゃないですか。見たまま撮ってくださいよお~!」
みたいな……。
RX100の初期値が、おそらく私の好みとは違っているんですね。
↑色調補正してみたのがこちら。実際の見た目はこんな風でした。
上級者向けすぎ
こんな、調整ありきのカメラ、上級者向けすぎやろ!
「デジカメ」という枠で色んなカメラが一緒くたに並んでいるけれど、こんなに使い勝手に差があるのに、それが、買うときはよくわからないなんて恐ろしいことだ(笑)。
私のように、初心者的なカメラの使い方しか知らない人が「評判が高くて良さそうだから」といってRX100を買って、上手く撮れずに困る……ってことが全国のどこかで発生していそう。いや、絶対発生してる。心配!(笑)
でも、面白い。
けれど、難しい分だけ、写真撮影の面白さを感じられたというのも事実です。
RX100を使いこなすために、初めてAモードを使って絞り値を決めたり、初めてホワイトバランスを調整してみたり、初めてフォトショップで色調補正してみたり、カメラにまつわる初めてのことをたくさん経験して、無理矢理ながら、写真撮影の知識が増えました(笑)。
富士フィルムXQ2がオートマ車なら、ソニーRX100はマニュアル車。
今まで、写真撮影はシャッターを切るだけのいわば単純作業でしたが、RX100を使うことを通して初めて、撮影がクリエイティブな真剣な遊びのように感じられ、楽しかったです。
未だに、RX100で撮った写真をPCで確認する瞬間が楽しみです。ドキドキワクワクします。どんな風に撮れてるかなあ~と。それで、思ったより素敵に撮れていたら、最初の頃に上手く撮れなかったこともあって、なおさら「ヨッシャー」と嬉しい。
RX100は、写真を撮ることの奥深さを教えてくれました。
動画撮影時のオートフォーカスが優秀
ちなみに、RX100の動画撮影機能ですが、これはなかなか優秀だと感じています。
オートフォーカスの性能が良いです。
↑「ホームベーカリーで練っている最中の激しく回転するパン生地」が、最後までピンぼけせずに写せたのには感動しました(動画は1.5倍速にしてあります)。
XQ2は、生地が練られているうちにピントがどこかに行って画面がボケボケになり、ピントが帰ってこないので……(苦笑)(そんな特殊な動きのものでなければ普通に上手く撮れるのですが)。↓
↑パンケース内側にへばりついている生地に注目すると、ボケ具合がわかりやすいです。
動画性能は、RX100の方が上だと感じています。さすがビデオカメラを作っているメーカーだけあるのかなという感じ。
撮影を終えるときに終了ボタンを押す音が入らないのも好印象。XQ2ではなぜか、マイク位置の関係なのか、ボタンを触る「カサカサ」という音が入ってしまっていたんですよね。
すべすべ本体
↑なお、噂に聞いていた「ホールド感の良くなさ」については、本当に本体がスベスベサラサラで、なんでこんな素材を採用したんだろう(苦笑)と思わざるを得ません。
気をつけて持てばなんとかなりますが、どうにもならなくなったら、滑り止めゴムシートか別売りグリップの装着を検討しようと思っています。
強みを生かして使いこなしたい
RX100。
憧れ続けて買ってみたは良いけれど、いざ手に入れたらとても難しい上級者向けのカメラだった(笑)。
太陽の光の下、屋外で撮る写真はオートでも上手くいくけれど、私の主戦場である「室内」では、色んな調整が必要になって苦戦を強いられる。
けれど、陰影が豊かで立体感がよく表現できたり、センサーサイズが大きいおかげで背景に極端なボケを効かせられたり、写真というものの絵画的可能性を広げてくれるカメラであることはよくわかった。
クセのあるカメラだなと思うけれど、個性的だからこそ、ここまで人気も出たのかなと思います。
今はまだ、「サブ機としてなんとか使えるようになってきた」レベルで、安心してどんな場面でも撮れる域には達していませんが、今後も撮影練習を続けていつか意のままに操れるようになりたいです!
追記:けっこう使い慣れた
2024年追記:RX100をメインカメラとして使い始めてから2年が経過しようとしているのですが、結論としてはけっこう使い慣れました!
慣れるなんてことがあるのかなあ……と思っていましたが、慣れるものなんですね。
ボケ感に関しては、色んなボケ味(F値)で撮って、あとでPCで確認して気に入ったものを採用したりしています。
実際と違う見た目(色)で撮れる問題(笑)に関しては、色の正確性が問われるような写真以外はもうソニーの写りに任せて、色を間違いなく伝えたいときだけその場でホワイトバランスを調整して正しい色で撮影するようにしています。
RX100が創り出してくれるシリアスで静謐な絵も、今はわりとお気に入りだったりします。住めば都、みたいな、見慣れれば
RX100の欠点と思えていた部分に慣れて、「RX100はこういうもの」と割り切って淡々と対処できるようになりました。何事も、抵抗しているうちは苦しいですが、受け入れてしまえば楽ですね。
本体が黒いので、室内の闇に紛れやすく、ちょっと部屋が暗いとカメラがどこにあるかわからなくなるのは困りもの。カラーリングだけ、もっと明るい色も展開してくれていたら良かったのにと思ったりしますが、それはもう仕方ないですね。😅
なるべく長く使えるように、今後も大事にしていきたいです!