こちら、ホームベーカリー(Panasonic製)に付属の説明書。↓
↑ホームベーカリーで作れる様々な物のレシピが掲載されていて、今まで色々と挑戦してきましたが、唯一、手つかずだったメニューがありました。
↑それがこの「ケーキ」。
作る気がしなかった
「バラエティコース」の「ケーキ」というモードで、パンケースに材料を入れてスイッチオンするだけでケーキが焼き上がるという寸法らしいのですが、できあがり写真を見る限り、「ケーキ」という言葉から連想できるような見た目ではなく、なんだかゴロンとした固まりで、あまり美味しそうとは言えず、わざわざ作ってみる気にはどうしてもなれなかったのです。
けれど。
ホームベーカリーにおいて、最後に残った、この、「ケーキ」という謎。
これ……作ったら、どんなものができあがるんだろう?
せっかく機能があるんだから、ちょっと使ってみたいなあ……。
と、購入17年目にしてようやく「ケーキ」モードに興味が湧き、作ってみることにしたのです。
レモンケーキを説明書通り作ってみる
↑基本のバターケーキ含め、合計11種類のレシピが掲載されていましたが、私が作ることにしたのはレモンケーキ(基本のバターケーキにレモンの皮と洋酒が入ったもの)。
↑説明書通りに作っていきます。まず、パンケースにバター、砂糖、卵、ラム酒を入れます。
↑合わせて振るった粉類を入れ……。
↑ホームベーカリーにセットしてスイッチオン。「練り」が開始されます。
↑12分後、「粉落とし」(一時停止)のタイミングでレモンの皮を入れたらフタをして再びスイッチオン。焼き上がりを待ちます。
↑レモンケーキが焼き上がりました!
↑切り分けてみました!
意外と美味しいが改善点も
↑どんなものができあがるのか戦々恐々だったのですが、これ、食べてみたら意外と美味しかった!!
チーズケーキに通じるような濃厚さで、味は、メロンパンの皮とか、カロリーメイトのフルーツ味のような感じ。
レモン皮の爽やかな香りが良いです。
「ケーキ」と言われるとフワフワのケーキを思い浮かべてしまっていたので、説明書のできあがり写真に違和感がありましたが、実際に食べてみると、これは「焼き菓子」、つまり「パウンドケーキ」の仲間なんですね。
なるほど、ケーキはケーキでもパウンドケーキか。
これならけっこう上等なおやつとしてイケるじゃん!
改善点
ただ、美味しいだけに、改善点も感じました。
ケーキがみっちり詰まっていて固い。もう少しフワホロ感を出したい。
味にムラがある(薄い部分、濃い部分が混在)。全体的に均一な味にしたい。
一部のケーキ中央上部に色の濃いねっとりした部分ができた。これを防ぎたい。
↑改善点③の「色の濃いねっとりした部分」とは写真の円で囲った箇所のこと。生焼けではなく、火は通っているのですが、「ういろう」のようなペースト状で周囲と食感が異なるし見た目も良くないので、できればこれをなくすか、極力少なくしたい。
ホームベーカリーのレモンケーキ・マイベストレシピ
ということで!! 自分なりにベストなレモンケーキの追究を始めて、23回の試作の末に行き着いたレシピをご紹介します。
無塩バター…110g
砂糖…100g
卵…Mサイズ2個(約100g)
ラム酒…大さじ1
レモン汁…大さじ1(※独自追加)
薄力粉…180g
ベーキングパウダー…小さじ2と1/3(7g)
レモンの皮…すりおろしたもの1個分(10g~20g程度)
【ケーキ完成後に上から塗る分】
ラム酒…大さじ2(※独自追加)
(↑説明書記載の材料にオリジナルで加えたものには(※独自追加)と記載しています。)
卵は常温に戻して溶いておく。薄力粉とベーキングパウダーは合わせて振るっておく。
↑バター(うちで使っているのは「ウエストゴールド グラスフェッドバター」)は1㎝角に切ってボウルに入れ、電子レンジ(500W)にかけ(一回につき10秒~20秒を、様子を見ながら複数回)、マヨネーズくらいのやわらかさにする(完全に液状化しないように注意)。
【バターをやわらかくする理由】…バターが固いままだとケーキの仕上がりがミッチリします。ここでマヨネーズくらいにすることによって仕上がりにフワホロ感が出ます。
【バターを1㎝角に切る理由】…電子レンジにかけたとき、均一にやわらかくするためです。
↑バターをヘラでクリーム状に練ったら、砂糖を一度に加えてすり混ぜていく(砂糖として、うちでは「古式原糖(粗糖)」使用)。
↑バターだけの部分が残らないようにすり混ぜていきます。
【バターと砂糖をすり混ぜる理由】…バターと砂糖がよく馴染んで味が濃くなります。また、こうすることで、ケーキ上部の色の濃い部分(上記参照)が出現しにくくなります。
↑バターと砂糖を、ハンドミキサーの高速で3分~5分ほど、白っぽくなるまで攪拌する。
【バターと砂糖を攪拌する理由】…空気を含むのでケーキにフワホロ感が出ます。フワホロ感を出すのに最も重要な工程です。また、バターと砂糖が、すり混ぜるだけよりもさらに馴染んで味が濃くなります。
↑溶き卵を三回~五回ほどに分けて入れ、その都度ハンドミキサーの高速で攪拌する。
【卵を複数回に分けて入れる理由】…少しずつ入れて混ぜた方が分離しにくいからです。
↑レモン汁とラム酒を加える。
【レモン汁を加えた理由】…レモン汁の酸味を加えることで、より甘さが引き立ち、味わいに奥行きが出て美味しくなります。元々のレシピ(説明書記載)には無いものなので、抜いても問題はありませんが、味を追求するなら入れるのをお勧めします。
↑ハンドミキサーの高速で攪拌します。このとき、最後の仕上がりが少し分離気味にボロボロになってもあまり気にしないで良いです(室温が低いとボロボロの仕上がりになりやすいです)。
↑攪拌終了。
↑振るっておいた粉類(薄力粉+ベーキングパウダー)を一度に入れ、ヘラで粉っぽさがなくなるまで混ぜる。
↑レモンの皮を加え、ヘラでさらに混ぜていく。
↑生地にツヤが出るくらいまでよく混ぜたら完成。
↑パン羽根をセットしたパンケースを準備する(ホームベーカリー本体からは取り外した状態)。
↑そこに、ヘラで生地を入れていく(ヘラは二本使うとやりやすいです)。
↑ホームベーカリーにパンケースをセットしない状態で、①「天然酵母/バラエティ」ボタンを押して②「ケーキ」コースを選び、③スタートボタンを押す。
すると、モーターの空回転が始まり、12分後に「粉落とし」という名目で一時停止するのでそこまで待つ。
↑「粉落とし」のタイミングで①一時停止したホームベーカリーに生地を入れたパンケースをセットし、②スタートボタンを押してフタを閉じる。
あとは焼き上がりまで放置でOKです。
【なぜパンケースを最初からセットしないのか?(なぜ最初に空回転させるのか?)】…最初から生地の入ったパンケースをホームベーカリーにセットしてスイッチオンすると、「粉落とし」までの12分間、生地がパン羽根でグルグルと練られることになります。
すると、せっかくハンドミキサーによる攪拌で生地に含まれた空気が抜けて、できあがりのケーキからフワホロ感が失われてしまいます(ミッチリ固めの仕上がりになる)。
↑焼き上がりました!
↑ケーキクーラーの上に取り出し、ケーキが熱いうちにラム酒をハケでトントンと置くように塗っていきます。
ラム酒は主に上面に塗って、四側面はサッと一度塗り程度で良いです。
底は塗りにくいので何も塗らないことが多いですが、塗りたい場合はケーキを倒して一度塗りしてから元に戻します。
【最後にラム酒を塗る理由】…ラム酒を塗ることで、生地に少ししっとり感が出て、香りが良くなり、味わいも複雑になります。ただ、元々のレシピ(説明書記載)には無いものなので、抜いても問題はありません。
レモンケーキ完成
↑粗熱が取れたらできあがりです!
↑好みの厚さ(写真では1.5㎝ほど)に切り分けます。
↑合計8切れ。
↑ほんの少しだけ上部にうっすらと色の濃い部分ができましたが、この程度なら食感・見た目ともに問題ありません!
味が濃くて美味しい
↑それではコーヒーとともにいただきます!
↑フワッと適度な弾力。
↑食べると、しっとり、ホロッとした食感。
バターと砂糖をしっかり馴染ませているおかげで、甘さが濃くて美味しいです。もちろん味のムラもありません。
ふんわりと卵の香りがして、レモンの皮の香りも爽やかで、コーヒーが良く合う!
手間はかかる
以上、私が現時点で行き着いた、ホームベーカリーで作るマイベスト・レモンケーキの作り方をご紹介しました。
ご覧いただいたように、本来であれば「材料をすべてセットしたらスイッチポン」でできあがるはずのところ、バターと砂糖をすり混ぜるわ、わざわざハンドミキサーで攪拌までするわ、卵を複数回に分けてその都度混ぜるわ、粉を入れたら二の腕が痛くなるほどヘラで混ぜるわ……。
ホームベーカリーで作るケーキの良さ(簡単さ)をすべて打ち消していく勢いです。
楽さより味を優先
でも私も、楽に作れるならその方が良いと思って、とことんまで簡単なやり方を追求したのです。どこまで手を抜けるか、ギリギリまで妥協点を探しました。
けれど、「ちょっと手を抜いて楽ができても、できあがったケーキの味がその分イマイチ」なのと、「手間がかかって大変でも美味しくできあがる」のとでは、後者の方が総合満足度が高いんですよね。
レモンケーキは、材料費が高いんですよ。国産レモンや、グラスフェッドバター、薬類不使用飼育の卵など、良いものを使うので、ケーキ一個分で合計800円ほどします。
それだけお金をかけて作るケーキが美味しくできないというのでは、せっかくの材料がもったいない。
ということで、最終的に、かなり頑張った感じの作り方になりました。
オーブンで焼くパウンドケーキよりは楽
しかしながら、型を使ってオーブンで焼くパウンドケーキよりは、かなり難易度は下がるんじゃないかなと思います。
パウンドケーキほど、「バターと砂糖の攪拌」を念入りにする必要はありませんし。多少攪拌が足りなかったり、分離したままの状態で焼いても、小麦粉とベーキングパウダーの多さに助けられてそれなりの物が完成しますし。
型も、それに敷く紙も用意しなくて良いというのは、さすがホームベーカリーといったところ。
ケーキモード、活用したい
↑というわけで、ずっと謎だった、ホームベーカリーの「ケーキ」モードで、なかなか美味しいケーキが作れるようになって良かったです!
夕飯後に、いつも煎茶と、ちょっとしたおやつを食べるのですが、そのおやつの種類が増えました。
このレモンケーキを皮切りに、今後、また違うケーキにも挑戦してみたいです。
放牧の牧草中心に育った乳牛のバター
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