昨年、「普段使いしやすい価格で、天然香木系の華やかな香りを楽しめる線香」を求めて、二種類の線香(「福運白檀」、「銘香五筆」)を試しました。↓
↑こちら、どちらもなかなか良い香りだったのですが、一箱使い切ったあとはなんとなくまたいつもの「くすの木せんこう」に戻って、それを使い続ける日々を送っていました。
総合的に、私にとっては「くすの木せんこう」の方がわずかに上だったということなんですよね。
くすの木線香は無難
「くすの木せんこう」って、使いやすいんですよね。
化学合成添加物が一切不使用というところが一番の美点。
焚くと、柑橘系の爽やかな香りが少しだけあって、あとはほとんどただの煙で、「良い香り」と感じる要素はあまり無いけれど、「悪臭」と感じる要素も無く、使って体調も悪くならないし(線香の匂いがきつすぎると具合が優れなくなるので)、部屋への残り香も無く、とにかくあっさりしていて、飽きずに使える。
高価すぎないのもありがたい(1本約4.6円)。
気になっていたこと
ただ、「くすの木せんこう」を使うにあたり、気になっていたこともありました。
それは、この香りが、ちょっと素朴過ぎるということ。
ご先祖様に対して、毎日、すごく質素な食事を提供しているような気分というか……。
もてなしをケチッているような、どこか後ろめたい気持ちがありました。
自分が供養を受ける側だったら、確かに供養行為だけでありがたいけれど、できればもうちょっと沈香とかの良い香りを味わいたいなあ……。
「くすの木せんこう」も悪くはない。悪くはないんだけれど、もう少し、理想に向かって線香探しを続けてみようかなあ。
amazonレビューから線香に行き着く
そんな気持ちが強まっていた頃、良い出会いがありました。
私が愛用している「デントラクト」(乳酸菌入り歯磨き)のamazonレビューを書いているレビュワーさんが他にどんなレビューを書いているのか気になって見てみたところ、その中に「銘香高野霊香」という線香があったのです。
銘香高野霊香
↑こちら、「高野山大師堂」というお店で製造・販売されているお線香で、高野山の金剛峯寺でも使われているものなのだそうです。
それだけでも興味を引かれたのですが、レビューを読むと、『丁子(ちょうじ)のすごくいい香り』というのがあり、丁子好きの私は「丁子??」と大反応。
丁子の香りのお線香、ずっと欲しかったんです!!
丁子好きになったきっかけ
私が丁子の香りにハマッたのは2014年。
福井旅行で泊まった旅館(あらや滔々庵(宿泊記はこちら))のアメニティ(備品)に、「丁子染めの足袋(たび)」なるものがあったんですよね。↓
↑これ。この足袋が甘くてスパイシーなすんごく良い香りで、「フォー!! この香り、何? 丁子ってこんな良い香りがするの??」と、一気に丁子のファンに。
丁子は、別名「クローブ」というスパイスだと帰宅後に調べて知り、匂いを嗅ぐためだけにスーパーのスパイス売り場でクローブを買ったりもしました。↓
↑この、クローブの香りのお線香があったらどんなに良いだろうと思って、折に触れて探したのですが、うまく見つけられず。
丁子の香りメインの線香っていうのもなかなか無いものなんだなあ~と半ば諦めていました。
それが!! ここへ来て、丁子の香りのする線香発見??
これは運命の出会い! 買うしかない!!
買ってみた
↑というわけで!! 買ってみた!! 銘香高野霊香!
紺青色の和紙に金銀の四角がちりばめられて、高級感ある外装です!
1本あたりの値段は、約6.8円。くすの木線香(1本4.6円)より2円高いけれど、普段使いできる範疇。
↑フタを開けると……おおぅ! これまた高級感!
天然和漢香料
↑「高野霊香のしおり」と、説明書き。↓
↑これらの情報と、お店のサイトの商品説明によると、使われているのは、
等の天然和漢香料であるとのこと。
「丁香」というのが、私のお目当てである「丁子」のこと。丁子が配合されているのは確かなようだ。
商品説明には「鬱金(ウコン)を調合しているため焚く前はカレーっぽい香り」なんて書いてあるけれど、果たしてどんな香りなのか……。
カレー
↑わくわくしながら早速嗅いでみると……。
…………ん?
なんだこれ(クンクン)、確かに(クンクン)、カレー粉っぽいスパイスの香りがする。
母にも嗅いでもらうと、母は、「ウスターソースの匂い」と表現。
……カレーとか、ウスターソースとか、どういうことやねん(笑)。初めて嗅ぐ種類の香りです。
甘く、スパイシーな香りで、その中に確かに丁子の気配も感じます。
けれど、丁子は、単体だともっと軽い、音でいうと高音の響きのある香りなんですよね。
この高野霊香は、甘いけれど重い、重低音を感じる香りです。
焚いてみる
これは、焚くと一体どんな香りになるのか……。供養時の線香として使ってみました。
火をつけて、上がった煙を直接嗅いでみると、スッとした龍脳系の香り。
その煙が徐々に部屋を満たし、廊下にも漏れ出て、家の中を漂い始めます。
すると……おっ? なんだ? この複雑な香りは。
なんとも表現が難しい。様々な香りが何重にも綾をなす、奥行きのある香りです。
「干しぶどう」のような香りというのが、私が一番感じたことです。
甘酸っぱい。それでいて重く濃厚。豪華。
けっこう良い香りだぞ!
それでいて、翌日、供養部屋に残った香りは、木のように静か。うん、この残り香の少なさも良い感じ。
天然香料100%なのか?
なかなかいいじゃん、銘香高野霊香。
しかし、ここまで豪華な香りがするのに、天然香料100%ってことあるのかな……。
商品説明には「古来の経典に基づき天然の香料で仕上げております」と書かれていて、ここを素直に解釈するなら天然香料100%っぽくはあるんだけれど、少しは合成香料も使っていたりするのかな。
合成香料不使用か問い合わせてみた
……と、考えていても埒(らち)があかないので、販売元に電話で問い合わせてみました!
すると、銘香高野霊香、合成香料は無添加とのこと!!
ホォーーーッ!! すごい!! 合成香料無添加?? そんな線香、「くすの木せんこう」や「風韻シリーズ」以外に存在したんだ!!
ただ、カビ止め剤、着色料(染料)は使用しているとのことで、完全無添加というわけではないようなのですが、合成香料を使っていないというだけでもかなりすごいです。
リピート決定
この銘香高野霊香、気に入りました。
天然香料100%で、これだけ華やかな香りが楽しめて、値段もそう高くはない。……と、求めていた線香の条件にかなり近いものが見つけられたと思っています。
そしてこの線香、不思議なことに、日によって香りが違うように感じられるんですよね……。
購入当初は香りに少し「くどさ」があったのですが、日が経つにつれて澄んできて、購入から二十日が経った頃には「風韻白檀」的な、「えぐみの無い甘さ」を感じさせる香りになりました。
決まった香りではなく、日によって揺らいでいく香りというのも面白いと思います。奥が深く、飽きずに使えるんじゃないかと思っています。
母も気に入って、二人で供養時に使うので、一箱がどんどんなくなってきています。
……というわけでリピート購入決定! です。
線香界にも、隠れた名品があるものですね。「銘香高野霊香」を見つけられて良かったです。今後、我が家のご先祖様供養において定番になる予感!