私は、線香の香りは、なるべく自然な感じのものが好みです。
ですから日頃、新しい線香を探すときも、香木系(白檀、沈香、伽羅)とか漢薬系を物色することが多いのですが、それらとはまた違うタイプの自然っぽい線香を見つけて、気になったので購入してみました。↓
↑それがこちら! 「あまちゃ香」。
淡路島にある、淡路梅薫堂の商品。90g(約270本入り)で税込1620円。
一本当たり6円と、そこまで安価ではありませんが、わりと手を出しやすい値段のお線香です。
甘茶とは
そもそもこの、「あまちゃ香」の「あまちゃ」とは何なのか?
ということですが、これは漢字で書くと「甘茶」で、ユキノシタ科のヤマアジサイの一種。↓
↑その若い葉を蒸して揉んで乾燥させ、煎じて作られた飲み物(*1)のことも「甘茶」というのだそう。
甘茶にはショ糖(砂糖の主成分)の400~800倍甘い甘味成分が含まれていて、お釈迦様の誕生祭(潅仏会:かんぶつえ)(4月8日)には、仏像の上から注いで祝う習慣があるのだとか。↓(*2)(参考*1*2:wikipedia)
母に聞くと、子どものころに自宅裏のお寺で毎年この甘茶が振る舞われていて、それを飲む日が楽しみだったそうです。
甘茶の香りとは
その、「甘茶」の香りだという「あまちゃ香」。
母に、「甘茶ってどんな匂いだったの?」と尋ねても、「うす甘くて美味しかったという記憶だけあって、香りはよく覚えていない」なんて答えしか返ってこなくて、どんな匂いなのか事前に想像はできませんでしたが、お茶っていうくらいなんだから、ほうじ茶とか、煎茶とか、ああいう、静かで自然な種類の香りなんだろう。
↑そう思いながら箱を開け、匂いを嗅いでうおっ! と驚きました。
これは……これは、ものすんごく、砂糖がたっぷり入った紅茶の香りだ。
紅茶
いや……甘茶って、「砂糖が入った紅茶」なわけではないと思うけれど、この線香で表現されているのはそういう香りだわ。
ほえ~~。「茶」って響きから、もっと簡素な、日本的な香りをイメージしていたんだけれど、これはどっちかというと洋風で派手な香りだなあ。
そして、その「紅茶」も、普通の紅茶ではなくて、アールグレイとか、そういう、独特の良い香りがする紅茶の系統。そして、レモンティーっぽい柑橘系の香りも奥に感じる。
焚いてみた~香りが強い
実際焚くと、どんな香りがするのか……。
早速ご先祖様供養で使ってみたところ、ほとんど、火を点ける前の香りと一緒。
レモン石鹸のような、濃厚な、甘さと柑橘類が混ざった香り。
柚子の匂いにも似ています。
香木でいえば白檀系統のミルキーな香りで、悪くない。しかしいかんせん、香りが強い!
どんなに良い線香でも、その香りが強すぎると、匂い酔いしてしまって使うのが辛くなります。
この「あまちゃ香」も、二階の、ドアを閉めきった供養部屋で焚いているのに、その匂いが一階の台所まで来て、料理を作っていた母に「この線香はもう使わないでほしい」と騒がれてしまいました。
放置して匂いを飛ばす
しかし! このように匂いの強すぎる線香を使えるようにするための秘策があるのです!
それは、箱を開けた状態でしばらく放置して匂いを飛ばすというワザ。
以前、車の芳香剤のようにきつい香りで使えなかった線香が、このワザで匂いが弱まり、使えるようになったことがありました。↓
だから「あまちゃ香」にも、放置ワザを使ってみるぜ!!
一ヶ月放置
そして、「あまちゃ香」のフタを開けたまま、放置すること一ヶ月。
そろそろどうか……と思って焚いてみたところ、目論見通り、良い感じに香りが弱まっていました!!
二階で焚いていて、一階まで匂いは少し来るけれど、台所には届かないレベル。
料理中の母に、「今、二階であまちゃ香を焚いている」ということを気づかれなくなりました。
これなら継続利用できそうです!
特徴的な香り
「あまちゃ香」。
線香って、総じて、匂いがわりと似通っていて、嗅ぎ分けるのが難しい側面がありますが、この「あまちゃ香」はその匂いを判別できる自信があります。
そのくらい、特徴的な香りです。
何の線香を焚いているか、今まではまったく当てられなかった母も、「あまちゃ香」だけは「この匂いは”あまちゃ香”でしょ」と当ててきます(笑)。
自然な香り……とは言いがたいけれど、一ヶ月放置後の香りはほどほどまろやかで、使いやすい感じ。
沈香系の線香にあるような渋さ・お堂っぽさは皆無。「レモンティー香」と銘打って売り出せば誰もが納得するような香り。
コーヒーの香りの線香を求めている方がいるように、紅茶の香りの線香を求めている方もいらっしゃるんだろうなと思うので、そういう方にぜひおすすめしたい線香です。